php:// — さまざまな入出力ストリームへのアクセス
PHP ではさまざまな入出力ストリームを提供しています。 これらを使うと、PHP 自身の入出力ストリームへのアクセスや 標準入出力と標準エラー出力のファイル記述子へのアクセス、 メモリやディスクを使ったテンポラリファイルストリームへのアクセスができ、 フィルタを使って他のファイルリソースの読み書きに手を加えることもできます。
php://stdin、php://stdout
および php://stderr は、PHP プロセスの
対応する入出力ストリームへの直接アクセスを許可します。
これらのストリームは複製されたファイル記述子を参照します。そのため、
php://stdin をオープンしたあとでそれを閉じたとしても、
識別子のコピーが閉じられるだけです。STDIN
で参照される実際のストリームは何も影響を受けません。
PHP 5.2.1 より前のバージョンでは、これに関連する挙動にバグがあります。
これらのラッパーを使うのではなく、定数
STDIN
, STDOUT
および STDERR
を使用することを推奨します。
php://stdin は読み込み専用で、 php://stdout および php://stderr は書き込み専用です。
php://input は読み込み専用のストリームで、 リクエストの body 部から生のデータを読み込むことができます。 POST リクエストの場合は $HTTP_RAW_POST_DATA よりも php://input を使うのが望ましいでしょう。php.ini ディレクティブの設定に依存しないからです。 さらに、$HTTP_RAW_POST_DATA がデフォルトで設定されない場合は、 always_populate_raw_post_data を有効にするよりも $HTTP_RAW_POST_DATA を使うほうがメモリの消費量が少なくなるでしょう。 php://input は、 enctype="multipart/form-data" に対しては使用できません。
注意: PHP 5.6 より前のバージョンでは、 php://input でオープンしたストリームは、一度しか読み込めません。 また、このストリームは seek 操作をサポートしていません。 しかし、SAPI の実装によっては、別の php://input ストリームをオープンして読み込みを再開できる可能性もあります。 これは、リクエストの body 部のデータが保存されている場合にのみ可能となります。 通常、POST リクエストの場合はそのようになりますが、 PUT や PROPFIND といった他のメソッドの場合は保存されません。
php://fd は、指定したファイル記述子に直接アクセスすることができます。 たとえば php://fd/3 は、ファイル記述子 3 を指します。
php://memory および php://temp は読み書き可能なストリームで、一時データをファイルのように保存できるラッパーです。 両者の唯一の違いは、 php://memory が常にデータをメモリに格納するのに対して php://temp は定義済みの上限 (デフォルトは 2 MB) に達するとテンポラリファイルを使うという点です。 このテンポラリファイルの場所は、 sys_get_temp_dir() 関数と同じ方法で決めます。
php://temp のメモリ制限を制御するには /maxmemory:NN を追加します。この NN はメモリに保持するデータの最大量で、単位はバイトです。 このサイズを超えるとテンポラリファイルを使います。
php://filter は、フィルタアプリケーションが ストリームをオープンすることを許可するために設計されたメタラッパーです。 これは、readfile()、file() および file_get_contents() のようなオールインワンの ファイル関数とともに使用すると有用です。これらの関数には、コンテンツが 読み込まれる前にストリームにフィルタを適用する手段がありません。
php://filter の対象は、 次のようなパラメータをパスの一部として受け取ります。 ひとつのパスに対して複数のフィルタチェインを指定できます。 これらのパラメータの詳細は、使用例を参照ください。
名前 | 説明 |
---|---|
resource=<フィルタの対象となるストリーム> | このパラメータは必須です。フィルタリングしたいストリームを指定します。 |
read=<読み込みチェーンに適用するフィルタのリスト> | このパラメータは任意です。ひとつあるいは複数のフィルタ名を、 パイプ文字 (|) で区切って指定します。 |
write=<書き込みチェーンに適用するフィルタのリスト> | このパラメータは任意です。ひとつあるいは複数のフィルタ名を、 パイプ文字 (|) で区切って指定します。 |
<両方のチェーンに適用するフィルタのリスト> | read= や write= がついていないすべてのフィルタは、読み込みと書き込みのチェーンの両方に適切に適用されます。 |
バージョン | 説明 |
---|---|
5.6.0 | php://input が再利用可能になりました。 |
5.3.6 | php://fd が追加されました。 |
5.1.0 | php://memory および php://temp が追加されました。 |
5.0.0 | php://filter が追加されました。 |
例1 php://temp/maxmemory
このオプションパラメータは、php://temp がテンポラリファイルを使うようになるまでのメモリの制限を設定します。
<?php
// 制限を 5 MB にします。
$fiveMBs = 5 * 1024 * 1024;
$fp = fopen("php://temp/maxmemory:$fiveMBs", 'r+');
fputs($fp, "hello\n");
// 書き込んだ内容を読み込みます。
rewind($fp);
echo stream_get_contents($fp);
?>
例2 php://filter/resource=<フィルタの対象となるストリーム>
このパラメータは、 php://filter 指定の最後に存在し、フィルタリング したいストリームを指している必要があります。
<?php
/* これは単純に以下と同じです。
readfile("http://www.example.com");
なぜなら、実際のところ何のフィルタ処理も行われないからです。 */
readfile("php://filter/resource=http://www.example.com");
?>
例3 php://filter/read=<読み込みチェーンに適用するフィルタのリスト>
このパラメータは 1 つ以上のフィルタ名を パラメータとしてとり、それらはパイプ文字 | で区切られます。
<?php
/* これは、www.example.com のすべての内容を
大文字に変換して出力します。 */
readfile("php://filter/read=string.toupper/resource=http://www.example.com");
/* これは上の例と同じですが、それに加えて
ROT13 エンコード処理を行います。 */
readfile("php://filter/read=string.toupper|string.rot13/resource=http://www.example.com");
?>
例4 php://filter/write=<書き込みチェーンに適用するフィルタのリスト>
このパラメータは 1 つ以上のフィルタ名を パラメータとしてとり、それらはパイプ文字 | で区切られます。
<?php
/* これは、文字列 "Hello World"
に対して rot13 フィルタを適用し、カレントディレクトリの
example.txt に書き込みます。 */
file_put_contents("php://filter/write=string.rot13/resource=example.txt","Hello World");
?>
例5 php://memory と php://temp は再利用できない
php://memory と php://temp の再利用はできません。つまり、いったんストリームを閉じてしまったら、もうそれを参照できないということです。
file_put_contents('php://memory', 'PHP');
echo file_get_contents('php://memory'); // 何も表示されません