このウェブサーバーは、アプリケーション開発の支援用として設計されたものです。 テスト用に使ったり、制約のある環境でアプリケーションをデモするために使ったりすることもできるでしょう。 あらゆる機能を兼ね備えたウェブサーバーを目指したものではないので、 公開ネットワーク上で使ってはいけません。
PHP 5.4.0 から、CLI SAPI にはウェブサーバーの機能が組み込まれるようになりました。
このウェブサーバーは単一のシングルスレッドプロセスしか実行しないので、 リクエストがブロックされると、PHP アプリケーションはストールします。
URI リクエストの処理は、PHP を開始した時点の作業ディレクトリから行われます。 -t オプションを使えば、ドキュメントルートを明示的に指定することができます。 URI リクエストにファイルが含まれない場合は、指定したディレクトリにある index.php あるいは index.html を返します。どちらも存在しない場合は、 親ディレクトリにさかのぼって index.php と index.html を探します。 どちらか一方が見つかるか、あるいはドキュメントルートに達するまでこれが続きます。 index.php あるいは index.html が見つかるとそれを返し、 $_SERVER['PATH_INFO'] が URI の末尾にセットされます。 見つからなかった場合はレスポンスコード 404 を返します。
ウェブサーバーの開始時にコマンドラインで PHP ファイルを指定すると、
そのファイルをウェブサーバーの "ルーター" スクリプトとして使います。
このスクリプトは、各 HTTP リクエストの開始時に動きます。このスクリプトが
FALSE
を返すと、リクエストされたリソースをそのままの形式で返します。
それ以外の場合はスクリプトの出力をブラウザに返します。
以下にあげる拡張子のファイルについては、標準の MIME タイプを返します。 .3gp, .apk, .avi, .bmp, .css, .csv, .doc, .docx, .flac, .gif, .gz, .gzip, .htm, .html, .ics, .jpe, .jpeg, .jpg, .js, .kml, .kmz, .m4a, .mov, .mp3, .mp4, .mpeg, .mpg, .odp, .ods, .odt, .oga, .ogg, .ogv, .pdf, .pdf, .png, .pps, .pptx, .qt, .svg, .swf, .tar, .text, .tif, .txt, .wav, .webm, .wmv, .xls, .xlsx, .xml, .xsl, .xsd, そして .zip.
バージョン | 説明 |
---|---|
5.5.12 | .xml, .xsl, および .xsd |
5.5.7 | .3gp, .apk, .avi, .bmp, .csv, .doc, .docx, .flac, .gz, .gzip, .ics, .kml, .kmz, .m4a, .mp3, .mp4, .mpg, .mpeg, .mov, .odp, .ods, .odt, .oga, .pdf, .pptx, .pps, .qt, .swf, .tar, .text, .tif, .wav, .wmv, .xls, .xlsx, および .zip |
5.5.5 | |
5.4.11 | .ogg, .ogv, および .webm |
5.4.4 | .htm および .svg |
例1 ウェブサーバーの起動
$ cd ~/public_html $ php -S localhost:8000
ターミナルには次のように表示されます。
PHP 5.4.0 Development Server started at Thu Jul 21 10:43:28 2011 Listening on localhost:8000 Document root is /home/me/public_html Press Ctrl-C to quit
http://localhost:8000/ と http://localhost:8000/myscript.html をリクエストした後のターミナルの表示は、 このようになります。
PHP 5.4.0 Development Server started at Thu Jul 21 10:43:28 2011 Listening on localhost:8000 Document root is /home/me/public_html Press Ctrl-C to quit. [Thu Jul 21 10:48:48 2011] ::1:39144 GET /favicon.ico - Request read [Thu Jul 21 10:48:50 2011] ::1:39146 GET / - Request read [Thu Jul 21 10:48:50 2011] ::1:39147 GET /favicon.ico - Request read [Thu Jul 21 10:48:52 2011] ::1:39148 GET /myscript.html - Request read [Thu Jul 21 10:48:52 2011] ::1:39149 GET /favicon.ico - Request read
例2 ドキュメントルートディレクトリを指定した起動
$ cd ~/public_html $ php -S localhost:8000 -t foo/
ターミナルには次のように表示されます。
PHP 5.4.0 Development Server started at Thu Jul 21 10:50:26 2011 Listening on localhost:8000 Document root is /home/me/public_html/foo Press Ctrl-C to quit
例3 ルータースクリプトの使用
この例では、画像ファイルをリクエストすればそのまま表示し、HTML ファイルをリクエストすると "Welcome to PHP" と表示します。
<?php
// router.php
if (preg_match('/\.(?:png|jpg|jpeg|gif)$/', $_SERVER["REQUEST_URI"])) {
return false; // リクエストされたリソースをそのままの形式で扱います。
} else {
echo "<p>Welcome to PHP</p>";
}
?>
$ php -S localhost:8000 router.php
例4 CLI ウェブサーバーを使っているかどうかのチェック
フレームワークのルータースクリプトを、開発中は CLI ウェブサーバーで使って その後は本番環境のウェブサーバーでも使うという例です。
<?php
// router.php
if (php_sapi_name() == 'cli-server') {
/* 静的コンテンツのルーティングをして false を返します */
}
/* 通常の index.php の処理を続きます */
?>
$ php -S localhost:8000 router.php
例5 未サポートのファイル形式の処理
CLI ウェブサーバーで対応していない MIME タイプの静的リソースを扱うには、このようにします。
<?php
// router.php
$path = pathinfo($_SERVER["SCRIPT_FILENAME"]);
if ($path["extension"] == "el") {
header("Content-Type: text/x-script.elisp");
readfile($_SERVER["SCRIPT_FILENAME"]);
}
else {
return FALSE;
}
?>
$ php -S localhost:8000 router.php
例6 CLI ウェブサーバーへのリモートマシンからのアクセス
ウェブサーバーを、任意のインターフェイスからポート 8000 でアクセスできるようにするには、このようにします。
$ php -S 0.0.0.0:8000